インターナショナル・カフェサロン 2008
「日本人と欧米人のリスク認知の違い~リスク情報をどう捉えるか?~」 議事録

【日時】 2008年10月24日(金) 14:00-17:00

【場所】 芝蘭会館 2階 第一研修室

【 参加者数】 26名

【 講演】

(1)リスク認識・コミュニケーション・管理~日本での経験から~
大阪大学大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻
 Mr. Robert Noel Show(ロバート・ショー)

ショー氏から,「リスクマネジメントやリスクコミュニケーションに関するほとんどの調査や文献は、大企業に関するものだが、企業の実態では中小企業の占める割合が高く、中小企業に対する分析が不可欠」として、自らの日本での会社経験を基に、中小企業におけるリスク認識とコミュニケーション・マネジメントについて、以下のような問題提起があった。

  • エンジニアの話が経理部門とは優先順位が違うことがある。
  • 感情が理性に優ることがある。
  • 疑問があっても上司に服従的である。
  • パートタイムのスタッフやリース設備に頼っていることが多く主体が曖昧。
  • レビュー不足で再発事象を招き易い。
  • スタッフの交代率が高く、継続的な仕事に支障をきたすことがある。
  • 個人に任せきりで情報共有のしくみができていない。
これらのショー氏の指摘について、会場から日本に限らず他国でも同様との意見や、これらの指摘を今後どのように分析し、対応するのかなどの意見があった。 

(2)リスク認知と文化
ボルドーマネージメントスクール
Prof. Tatiana Chameva(タチアナ・シャミーヴァ)

シャミーヴァ氏は,「リスクという用語がフランスや日本社会で爆発的に増大した現代だが、リスクのもつ意味が正確に定義されないまま曖昧に使われている。リスクとは,ラテン語で,危険を認知し、そこをなんとか対処するという意味の「risco」「risicus」と、論争、紛争という意味の「rixicare」の二つのことばが原義で,リスクの本来のニュアンスである」と指摘された。また,我々は偏在するリスクの中で暮らすことに対処するため規制を設定して暮らしているが、リスクを意識するあまり、『規制の過食症(過剰規制の傾向)』に陥っているとして、以下のような事例が紹介された。

  • 欧州では食品添加物の規制が国によってバラバラで、最近は統一化の方向にある。しかし、各国の特殊事情を無視して包括的に規制されることになり、国によってはこれまで意識されていなかった面にまで規制が及んで次第に細かくなっていく,という問題が生じている。
  • 世論調査によると、フランスでは対処方法が確立されている原子力発電より、対策が思うように進まない地球温暖化問題の方が、社会生活を脅かすリスクと認知されている。
  • 欧州のいくつかの国を対象にした各種の「リスク」と「信頼」の相関関係の調査によると、リスクは認知されていても行政組織に対する信頼が低い国もあれば、その逆の国もある。


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