「社会技術研究イニシャティブの目的、体制、研究課題」


日本原子力研究所社会技術システム推進室 研究主幹 田辺 文也 氏


社会技術研究イニシャティブ構想は社会問題を解決するための技術(技術的根拠/知識体系)の確立を目的とする。即ち、個別分野を超えた幅広い視点から、社会問題を解決するための技術(自然科学に裏打ちされた技術のほか、人文・社会科学に裏打ちされたものも含む)について研究開発を行い、市民セクター、企業セクター、行政セクター等が現実の社会問題を解決するために必要とする方策に適用できる技術(技術的根拠/知識体系)を構築し、もって社会における新たなシステムの創造に資する。

 日本原子力研究所と科学技術振興事業団が一体的に研究を推進する連携協力体制として「社会技術研究システム」を設置して実施している。研究は「社会技術研究フォーラム」、「ミッションプログラム」、「公募型プログラム」の3つのプログラムにより実施する。

@ 社会技術研究フォーラム(担当機関:日本原子力研究所及び科学技術振興事業団)
社会問題の本質を認識し、その解決を図る研究のあり方を個別分野を超えた視点から継続的に探ることを目的とし、以下の機能を持つ。
(@)問題設定:社会問題の本質を認識し、解決すべき問題を研究課題として設定する。ここで抽出・設定された問題は、必要に応じミッションプログラムや公募型プログラムに反映させる。
(A)他のセクターとの交流:社会技術は社会的妥当性と社会的正当性及び科学的妥当性が保証されなければならない。そのため、色々なセクターとの交流を行い、社会に対し情報発信・問題提起をするとともに、社会からの評価・批判を得る機能を持たせる。
(B)社会技術研究そのものに関する研究:社会技術研究の在り方を継続的に議論する。

A ミッションプログラム(担当機関:日本原子力研究所)
社会問題の解決を図るために重要と考えられるミッションを設定し、その目標達成に必要な研究チームを組織して研究を実施する。安全性に係わる社会問題の解決を目指して、あるべき社会システムを実現するための知識体系を構築することを目的とし、研究行っている。研究体制は安全性に係わる社会問題の解決のための知識体系のフレームワーク構築と知識の統合・一般化に関する研究を行う「総括グループ」と、知識体系にかかわる知見を提供するとともに特定課題解決の方策を図るために特定課題に関する研究を行う「特定課題研究グループ」によって構成される。

B 公募型プログラム(担当機関:科学技術振興事業団)
社会問題の解決を図るために重要と考えられる着眼点を踏まえて推進すべき研究領域を設定し、広範な層からの課題の発掘とその解決を目的として、研究提案を公募して研究を行う。公募の中から選定された課題について、研究代表者が研究構想を実現するために研究チームを編成する。なお、研究領域ごとに課題の選定と研究領域の運営を統括する領域統括を置く。平成13年度は、「社会システム/社会技術論」、「循環型社会」、「脳科学と教育」を採択課題とした。


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