原子力関係者と一般の人々の、原子力に対するリスク認識の把握を主な目的として、2003年度に、「原子力に関するアンケート」を実施しました。対象者は、原子力関係者(275名)と、首都圏在住の女性(580名)としました。 <結果1> 例えば、次のような質問項目で、原子力関係者と首都圏女性との違いが見られました。 |
原子力関係者 | 首都圏女性 | |
放射性廃棄物に関する原子力政策への課題 | 「処分地の決定」を40%が選択 | 「処分技術の確立」を46%が選択 |
日本の原子力発電への安心感 | 8割が安心 | 6%が安心 |
今後、原子力発電を積極的又は慎重に推進していくべき |
91%が肯定 |
51%が肯定 |
<結果2> さらに、原子力関係者と首都圏女性のそれぞれに対して、どのようなリスクについて注目するかという観点から、グループ分けを行いました。結果、原子力関係者の認識は、 A:原子力事業の安定継続に対する障害をリスクと考える多数派 B:事故による被曝・汚染をリスクと考える少数派 C:原子力廃止によって生じるマイナス面をリスクと考える少数派 というグループに大別できることが明らかとなりました。 また首都圏女性は、 D:事故による被曝・汚染をリスクと考える多数派 E:原子力廃止によって生じるマイナス面をリスクと考える少数派 というグループに大別できることが明らかとなりました。 原子力関係者の中で、被曝のリスクを重視する層(B)は、現在の運転管理や安全対策に不安を感じている傾向がありました。彼らは、原子力をめぐる問題に敏感であると考えられ、一般社会とのリスクコミュニケーションの創発に活用できる可能性があると考えられます。 |