シンビオ社会研究会の新しい試みとして、滋賀県大津市にある滋賀県立膳所高等学校の生徒さん、先生たちと、平成18年12月9日(土)に大阪府熊取町にある京大原子炉実験所への見学会を行いました。
当日は午前10時に膳所高校をバスで出発し、12時に実験所に到着しました。膳所高からの参加者は、校長の大崎先生始め10名の先生と1,2年生の生徒さん27名で、シンビオ会員3名が同行しました。3年生は大学受験を控え、今日は最後の模擬試験とのことで、私も遠い昔の高校時代を思い起こしました。
到着後、実験所の会議室に集合し、全員でお弁当を頂いたあと、京大実験所で応対いただいた釜江先生、中込先生の挨拶の後、1時から30分ほど実験所の紹介ビデオを見せていただきました。その後、小人数の班に分かれて、実験所にある主要な実験施設である、研究用原子炉KUR, FFAG加速器、臨界実験装置KUCAの3つの建屋を、それぞれ引率の若い先生方に約30分ずつ順に案内、説明していただきました。
研究用原子炉KURは、これまで使用の原子炉核燃料を全面的に取り替えるため現在は休止中ですが、二重の扉を抜けてKURの中に入り、原子炉の頂上で燃料棒や制御棒などの説明を受けました。膳所高の生徒さんたちは、靴にビニールカバーをしたり、KURに入る二重の扉やハンドフットモニターなど、恐る恐るながらも初めての体験を楽しんでいるようでもありました。
次にFFAG加速器のある新しい建屋にいきました。FFAG加速器とは、固定磁場強収束型の加速器で昭和28年に日本人の大川千弘博士がその原理を発明し、これを用いた陽子加速を平成12年にこれも日本の高エネルギー加速器研究機構(KEK)が成功しているが、京大のFFAG加速器ではさらに磁場の形や加速方式で工夫を加えた世界初のものだそうです。とくに熊取の実験ではFFAG加速器で得た高速の陽子ビームを、KUCAの未臨界体系中にあるタングステンに打ち込んで核破砕で大量の中性子を発生させ、炉心で中性子数を増倍させるという、将来の加速器駆動未臨界炉開発につながる世界初の実験を近々に行う予定で、その調整をこのところ毎日進めておりもうすぐ実験できる、と実際FFAGの調整をされている先生から頼もしい説明がありました。
最後の臨界実験装置KUCAでは、実際に核燃料をさまざまな形で組んで特性を測り、新しい原子炉の設計を確かめる実験をするという説明でしたが、実験装置にたくさん洗濯ばさみが使われていることに、膳所高の生徒さんは大変親しみを抱いたようでした。このKUCAの制御室では、全国の大学原子力工学科やお隣の韓国大学からもたくさんの学生さんが泊りがけで原子炉を使った実習教育を受けていると説明がありました。アジアの原子力教育に無くてはならない教育施設として活躍中です。当日は膳所高の生徒さんもKUCA制御室で操作盤の模擬操作を体験されました。
3つの施設を見学した後は、また実験所の会議室に戻り、小休止ののち、今度は釜江先生から、「巨大地震災害軽減に向けた取り組み」と題して、海底のプレートが動くときの巨大地震と活断層が動く直下型地震との違いや、海底地震による地震の波が大都会に到達して高層ビルを低周波振動させる様子など、アニメを用いたシミュレーションなどをふんだんに交えて分かりやすく解説いただきました。コンビニのカメラのビデオ記録で神戸の地震のときのリアルな振動を実感しました。
その後予定の時刻を少し過ぎましたが16時半に、熊取の先生方にお別れをしてバスで出発、大津には夕方6時に無事帰着し、散会しました。熊取の先生方には、土曜日にもかかわらず、熱心にご説明いただき、見学会の現地対応の万端をお世話いただきました。大変ありがとうございました。
釜江先生の説明
KURの上で制御棒駆動装置の説明を聞いているところ
KUCA制御盤の前で説明を聞いているところ
(ハンドフットモニタで・・どれだけ放射能を浴びたかを計る)
洗濯ばさみの活躍する臨界集合体(未来の原子炉の赤ちゃん?)
膳所高の生徒さんおよび先生から後日お寄せいただいた感想文を掲載します。
(先生と生徒さんの名前は匿名にしてあります。)
1年生Aさん
原子力発電所というものを見たのは小学校6年生の自然教室で若狭湾に行ったときが最初でした。原子力に関して知っていることといえば、学校で習ったこと、調べ学習等で調べたこと、あとは、失礼かもしれませんが原子力事故を題材とした話などで聞きかじっている程度の断片的なものでした。もちろん実際に行ったのは初めてです。正直なところ、かなり不安でした。入るのも少し怖かったです。実は、事前説明の文書を読んだ時に、原子力の影響については一応知っているのに、仕組みを理解していないということに気がつきました。生物に及ぼす影響はもちろん、ウランに中性子が当たって核分裂を起こす反応が連鎖していくことや原子炉の大まかな作りは、今まで勉強してきてある程度覚えている筈でした。制御棒や原子炉や冷却水なんかも聞きかじって覚えています。でもそれを組み合わせるためのつなぎ目のピースを考えたことがありませんでした。福井にある原子炉が大規模な事故を起こしたら、余裕で汚染区域になるという地域に私の家はあります。そういう話を聞いたことがあって、やっぱり怖かったので、原子力に対しても全く無関心でいたわけではありませんでした。なのに、仕組みも知らない。ただ怖い怖いと思っていただけでした。・・・・・・今でもそう変わったわけではないと思います。けれども、今回の体験をして、原子力と同様に扱うのはおかしいかもしれませんが、このように、社会で非難されているものに対する考え方を変えました。それには、本物の原子炉を見て、・・・案外ちゃっちいんだな(すいません)と感じたことに対する油断も含んでいるかもしれませんが、あそこで一生懸命活動している方々を見て、一概に決め付けたら、失礼というか、駄目だ、とそんな感じがしたのです。本来ならばこのような動機ではなく、システムをすべて理解したうえで、現実的に言うべきなのでしょうが、残念ながらまだ、そこまで至っていません。原子力についてや、そのシステムについてももちろんですが、現場を垣間見られたことも大きな収穫でした。
私の原子力についての理解は非常に不十分な段階です。その段階でとどまるということが、ある意味危険でもあるということも学びました。例えばディベートに用いやすいタイプの題材ではあるけれど、今までの自分の程度の知識ではどう頑張っても本当のディベートは出来ないとわかりました。・・・・・・原子力の可否などの問題も、しっかり考えていかなければならないと、思いました。社会的な方向性の感想になってしまいましたが、非常に面白い体験でした。
地震の話も、全部聞きたかったです。困難だとは思いますが、学校などでもこういう風に学んだほうが絶対にいいと思います。基礎知識の暗記も重要ですが、やっぱりこういうやり方の方が楽しいです。
1年生 Bさん
最初に、私の全然知らないところでこんなすごい研究が進んでいる、ということに驚きました。原子炉を見たときは感動しました。
まず、中性子をあてると物質が特定できることを知りました。このことは、たくさんのことに応用できると思います。
次に、脳腫瘍の患部にだけ中性子をあてられると知りました。原子力が医療に役立っているのを知ったのはこの時が初めてでした。危険だとは思いますが、脳の機能を傷つけないのは、すばらしいことではないでしょうか。しかし、原子力を使うことは容易でなく、何と言っても放射能の問題を除くことはできません。正直恐かった面もありました。チェックをする機械に手を入れるときはドキドキしました。それでも途中からは見学を楽しめました。靴を履き替えたり、二重扉にして気圧を変えたり、壁を分厚くしたりなど、実験所は安全管理を徹底しています。また、地震といった災害の際には直ちに停止する造りになっています。そういった点から安心できたのだと思います。
加速器も早く使われると良いです。説明を聞いてなんとなくですが原理、構造を理解できました。地震の講義も受けられて、本当に充実した見学だったと思います。ありがとうございました。
1年生 C君
今回の原子力研究施設見学会はとても興味深いものでした。本物の原子炉はそのような仕事に就かない限り、見ることのできないものを見れてとてもよい経験になりました。
僕は少し前から原子力について興味がありました。原子力はうまくつかえば半永久機関に、しかし、使い方を誤るとチェルノブイリや東海村のような事故、そして、原子力爆弾のように“脅威”ともなるようなものです。それらをどのように使えば安全に効率よく使えるかの研究をしていることに一番興味を持ちました。
FFAG加速器もとてもすばらしいものでした。さまざまなものに応用できることや、画期的なシステムがすばらしかったです。
地震についてもとてもためになりました。滋賀県には湖西に大きな断層があり、いつ大きな地震が起きてもおかしくない状況にさらされています。地震について学べたことはとてもよかったです。
今回の見学会は一生に一度の体験でしょうし、とてもためになりました。原子力は平和に使ってもらいたいです。
1年生 D君
今まで自分からとても遠く離れた技術だと思っていた原子力の利用を自分の目で見ることができ、とても良い体験でした。原子炉などの大きさにびっくりしました。原子炉の操作を制御棒の上げ下げですることを知って上手くできているなあと感心しました。
原子力を利用することは事故が起こった時に被害が大きくてこわいイメージがありました。しかし原子炉に入る扉を二重にしたり、地震が起こっても壁が厚かったり揺れができるだけ小さくなるようにしたりと安全な設計をしていることを知りました。これからの安全な原子力も、もうすぐそこまで研究が進んでいることをしりました。今火力発電などで発生する二酸化炭素が問題になっているけれども科学の進歩がそういう問題を解決していくのだろうなあと思いました。小さな原子炉の制御室をみせていただくとたくさんのスイッチやレバーがあり原子炉の操作の大変さを感じました。装置の説明はとても難しかったですが原子力の利用のことですこし知識がふえました。
1年生 E君
今回、京都大学の施設を見せていただいたことは、京大の先生方による講義や資料の中でしか垣間見ることのできなかった知識や研究を、原子力実験所における研究を実際に見せていただいて、教えていただいたことをより明確に、綿密に把握することのできた、とても貴重で、幸運な経験だと思っています。FFAG加速器など、まだ開発途中段階の実験装置の説明を聞いて、安全・性能共に、配慮された実験装置で、それによって、がんの治療の高度化が進み、より精密な治療ができることやKUCAへと繋げることによって、新しい研究へと発展していくこと、生物・物理・化学・医学など多方面において、原子力の可能性が広がっていることなど、原子力の未来性というか、発展の輪が窺い知れたこと、とても勉強になりました。京都大学で受けた講義でも感じたことですが、原子力にはどうしても問題が付属しているように感じてしまいましたが、この施設を見学させていただいたことで、原子力に広がる発展性、まだまだ研究が広がる余地のある、これからに活躍する研究を見せていただいて、とても勉強になりましたし、原子力の動向に目を向けるきっかけにしたいと思いました。
1年生 F君
僕は、研究所に行く前、「研究所」という響きから実を言うと今日行く研究所はそれほどすごいものではないのだろうなと思っていました。しかし、こう考えていたことはものすごく情けないことだったと今は思えてなりません。
研究用原子炉へ続くドアをくぐった時の感想は「とんでもないところに来てしまった」という非常に大きな驚きでした。二重のドアがあって、それは「放射性物質」が外部に何らかの理由で出てしまうことを防ぐのだということを聞いたからです。原子炉を実際に目の当たりにした時は、その佇まいに自分は今素晴らしい研究を行っているところに来ているだという感激に似た感情を抱きました。それと同時に、自分は本当に被爆しないのかという不安も少しありました。しかし、その不安は臨界実験装置の見学中に「こういう不安はあって当たり前なのかな?」という納得へ変わりました。
実際に装置を見ていたときに説明をしておられた先生が、「何か問題が起これば僕がここの責任者なので、謝るのです。」といったことを言っておられました。この様子を見て、僕はこういった研究や実験、特に最先端を行くようなものは、どうしてもリスクが付きまとってしまうのだろうなと感じました。そのため、こういった研究等をする人達は非常に苦労しているのかなと今も考えています。
今回の見学はとても興味深くて面白かったです。ありがとうございました。
1年生 G君
今回訪れた原子力実験所はたいへんすばらしいところでした。
はじめは、原子力を利用しているだけに周りに比べ放射能の割合が多いのではないかと不安に感じていました。けれども話を聞いて、画期的なところだと思いました。特にその中でも中性子によるがん治療などの医療関係において、最先端に向かっているものだと興味のあるものでした。また、安全性に配慮した原子力の開発にもとても興味を抱きました。前に京大の講義を受けに行ったときに、エネルギー問題において原子力の数の増加がたいへん多いことに不安を感じていました。整備不備などによる放射能漏れの危険性があるからです。しかし、それに対する取り組みによって安全性を確保ができたならば、大いにエネルギー問題に対する改善にもつながり喜ばしいことだと思います。原子力が今後のエネルギー問題に対する礎になっていくようにもあります。そのためにも早く実現されることを期待したいです。
1年生 H君
オーバーシューズにカラフルな巨大加速器…実験の中核となる科学的なことから安全を守るための規則、さらには素人目にもわかりやすくするための装置の色分けまで全てのことが道理にかなっていてそのそれぞれが役割を持っている…私は今回この研究所を訪れてこのような印象を持ちました。
自分は高大連携のイベントに今回初めて参加させてもらったのでなおさらなのかもしれませんが、なんといっても研究所のそのスケールに驚かされました。装置自体の大きさは実際の発電用のものと比べると小さめだったのかもしれませんが(それでも私の目にはとても大きく映りましたが)なによりもそのプロジェクトの大きさに誰もが目を見張ることと思います。昔からそうだったのかもしれませんが、やはり日本は世界のトップを走っているということを実感させられます(京都大学がその日本のトップの一角を埋めていることは一目瞭然)。自分がすごいと思ったことの中に、研究所紹介ビデオの中で原子炉の研究が人類の未来を担っているとした上でそれを重荷と感じることなくリスクを伴った新規開発を怠っていないという点が挙げられます。研究者としては当たり前のことなのでしょうか、原子力を扱う研究には必ず世間一般の批判がつきまとうこの現状の中、世界中から注目を受けて安定した実験方法を手に入れることで、ある程度の地位を築きながらも、もしも一歩間違えばそれらを全て亡きものとしてしまうであろう、今とは違う実験にチャレンジすることは私の目には、本当に自分たちが世界をリードしていることを証明する証のように映りました。
また、最後に釜江先生にしていただきました、地震についての講義も急いでるなりに重要な点が伝えられており、プレゼンテーションのよい参考となりました。こちらとしては感謝する限りです。
実験の原理などまだ自分ではいまいち解らないことも多くありましたが、今回の見学は自分のものの見方にかなりの影響を与えましたし、有意義なものとなったことに違いはありません。またこのような機会があれば、ぜひ参加しようと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
1年生 I君
今回の見学会で、がん細胞を死滅させることや、物体を透視できるなど中性子のすばらしい利用法を知り驚きました。また、物理や化学をまだ習っていないため詳しくは分からなかったが、制御棒にホウ素が使われていることや、核破砕など大まかに原子炉の仕組みが分かりました。しかし、周りの機械の音がうるさくてFFAG加速器の仕組みについての話が聞こえなかったのが残念でした。
<質問>
・ホウ素が中性子を吸収する限界量はあるのですか?
・物質が中性子を吸収する性質は物質の何と関係しているのですか?
・なぜ中性子捕捉療法では、がん細胞だけが死滅するのですか?
以前から、「放射能は人間に危害を加えるもの」と文字ではわかっていたもののあまり実感できませんでした。しかし、今回原子炉での厳重なチェックを体験して、放射能の危険性を肌で実感することができました。
最先端の技術で、全国・海外から学生が来る貴重な原子炉を実際に見ることができよい経験ができました。このような体験ができる恵まれた環境にいることに感謝し、これからは一層精進していきたいと思います。
京都大学原子炉実験所の皆様、今回のような貴重なお時間をとっていただきありがとうございました。
1年生 J君
今回、京都大学の原子炉実験所を見学して一番印象に残ったのは全てにおいて安全第一だということです。ホウ素を含んだ制御棒を電磁石で上げ下げすることで、原子炉の出力を変え、地震などが起こった時は電流が流れなくなり、原子炉が停止することや、原子炉内の空気や冷却水が放射線で汚染されても、外界とは混ざらないようにしていること、敷地内の土などの放射能を測定することなど、本当に安全に配慮しているのだと思いました。この他にも今日1日だけでも多くの安全対策を見たり聞いたりする事ができ、今までは原子力と聞くと廃棄物→放射能→危険みたいなことが頭でぐるぐる回っていたのですが、ただ単に危険だというイメージが変わりました。
また、原子炉からの中性子を利用してガンの治療をしたり、物質の組成がわかったりするなど、物理学だけでなく医学などの分野で貢献できる研究をしていることも意外でした。特に脳腫瘍をなくす過程を聞いたときはうまくいくもんだなぁと思いました。
1年生 K君
今回の見学会では、普段滅多に訪れる機会のない原子炉や加速器を見学することができて、非常に参考になった。特に興味を抱いたのは、原子炉での安全管理についてだ。放射性物質を扱っているということだけあってやはり、測定器をつけたり、分厚いコンクリートの壁で囲ったりと様々な工夫がなされていた。また、原子炉で放射性物質による解析が行えるということは知らなかった。科学の進歩には、ただただ目をみはり感心するばかりだ。時代の最先端を担う研究に携えるということは、原子炉の職員の方々にとって、とても誇らしいことなのだろうと思った。実際に自分も、あれだけの高度な施設で研究というものに、一種の憧れを感じた。
また、最後に聞いた地震の話も印象的だった。特に、阪神淡路大震災のコンビニの映像だ。震度6でもあれだけの揺れなのだから、震度7ではどれだけ揺れるのか、と考えると暗澹とした思いだった。日々の備えの重要性を再認識した。
次からもこういった機会には積極的に参加していきたいと思う。
1年生 L君
現在、地球は深刻な状態にあると思います。このまま温室効果ガスを排出し続けると、私たちの次の世代には地球が生物にとって生活しにくい環境になっていると思います。そこで、温室効果ガスを排出しない原子炉は現在とても注目されています。
原子炉は、物理学者、原子力学者等が知恵を振り絞って開発した、原子爆弾を制御したものですから、私は非常に複雑で難しい構造をしていると思っていました。しかし、実際原子炉の構造は、核燃料棒を冷やしつつ放置しておくだけで稼働し、暴走しないように制御棒で中性子を吸収するという極めて単純な構造で、しくみをとてもよく理解できました。また、原子炉は安全だとよく言われますが、私はその点に関して所詮付近の住民を安心させるための、うたい文句にすぎないと誤解していました。しかし実際には、原子炉は厳重に管理された環境に設置されており、万一の事態が起きても電源を落とせば制御棒が電磁石から外れて落下し、反応が止まるという仕組みを自分の目で確認できました。それで、原子炉も安心できることを知りました。
しかし、原子炉は安全とは言っても、チェルノブイリ発電所のように悲惨な事故がこれまで度々起きています。そもそも、放置すると核分裂が起こる量のウランが炉心にあるわけですから、予想外の事態が発生した場合、炉が暴走する可能性も有り得ると思います。ですから、現在京都大学原子炉研究所を含めた世界中の研究所で研究されている、ルビアが提唱した「絶対に暴走しない原子炉」というのは大変興味深いものと言えます。このシステムでは、少量のウランしか使用しないため、放置しても核分裂反応が起こりません。しかしそこに、炉の外部で作った陽子ビームを照射すると、核破砕が起こり中性子が発生して核分裂反応が起こります。しかし、ビームを遮断すると、核破砕は起こらず中性子も発生しないため、核分裂は起こりません。つまり、ビーム入射器の電源を切れば、絶対に原子炉は稼働できなくなるという画期的なシステムです。
この研究が成功すれば、世界のエネルギー事情は一気に変わるかもしれません。現在世界各国は原子炉の新規建設に消極的ですが、研究が成功すれば、クリーンで安全で出力の大きいエネルギー源として注目を浴びることでしょう。そして私は、このシステムの導入により火力発電が減少し、地球温暖化の抑制の一部を担ってくれるように、強く願います。
1年生 M君
「暴走しない安全な原子炉」最初はそんなことができるのか疑問でした。しかし、実際に現場で説明を受けて、可能であることを知り驚きました。また、原子力が発電だけでなく、ガンの治療に使われていることも意外でした。自分の中ではとても危険なものと認識していた原子力が思わぬところでも活躍していて、びっくりの連続でした。
時間が厳しかったですが、地震の講義も分かりやすく、興味を持ち、地震の発生から到達時間を知らせてくれるサービスはいいなと思いました。滋賀県で大きな地震があるだろうというのは前から聞いていましたが、断層を見せてもらったのでは、学校の辺りも直撃していて怖いです。
こんな間近で設備を見て、お話を聞けるのはおそらく最初で最後なので本当に価値のある研修になりました。参加できてよかったです。ありがとうございました。
1年生 N君
今回の京都大学訪問はとても面白かったです。難解な単語が多く加速器や原子炉の構造の理解には厳しいものがありました。しかし、それも含めての面白さがありました。特に私の興味をひいたのが加速器です。少し音が大きすぎてあまり説明は聞こえなかったのですが驚くほど緻密に計算されたものであることがよくわかりました。今回は本当に面白かったのでまたこのような機会をつくっていただければ幸いです。
1年生 Oさん
今回の原子炉見学では、思っていた以上に様々なことを学べました。原子力は普通では考えられないエネルギーを扱うため、今までは危険だというイメージが強くありました。しかし、現在も技術は発展していて、より安全になるように工夫が重ねられているとわかりました。
今回最も驚いたのは、中性子についてです。中性子が癌治療に応用されていたことは全く知りませんでした。去年だけで80名程の方が受けられているそうで、悪性脳腫瘍などには非常に有用とのお話でした。
患者に中性子を吸収しやすい薬品などを点滴すれば、それが癌細胞に集まり、他の細胞にほとんど傷をつけないで治療できるという店が非常に興味深かったです。より一層研究が進めば、多くの癌患者の方の希望になると思います。
物理的なお話では、知識が足りないためにエネルギーの大きさなどを上手く捕えられなかったのが非常に残念でした。しかし、オーバーシューズを履いたり、放射能濃度をはかったり、制御棒の模型などに実際に触れてみるなど、原子炉ならではの貴重な体験を数多くさせて頂き、本当にありがとうございました。
2年生 P君
今回スーパーサイエンスハイスクールの一環事業として京都大学の原子炉研究所の見学をさせていただいたわけですが、本当に貴重な経験ができました。世界でも最先端の技術を投じた施設を民間人に広く公開していることに非常におどろかされました。また、大変放射線の管理に厳しいことにも関心しました。それだけ、放射線が自然界や人体に及ぼす影響が大きいということを身をもって実感することができました。原子力と世間一般の最近の評価としては、高レベル放射性廃棄物の問題や臨界事故の可能性など否定的な見解が広がりつつある現在ですが、このようにより安全で低コストで効率のよい原子力発電の開発に真剣に取り組んでいる技術者たちがいるということに感心しました。日本は資源が少ないので、エネルギー政策はとても重要だと思います。そういった未来のことを見据えた研究開発をしている方々にとても憧れを感じました。私たちの将来を考える上で非常に有意義な体験をすることができたのは、研究所の方々をはじめ京都大学の教授の先生や膳所高校の先生方のおかげです。本当にありがとうございました。
2年生 Qさん
原子力について考える時、まず一番に思い浮かべるのは、今回説明していただいていた先生方もおっしゃったように、その危険性だと思います。日本は非核三原則を掲げる一方で、核の平和利用として原子力発電を行ってきました。原子力発電は、直接・間接的に出す二酸化炭素の量が少ない利点があると聞いたことがありますが、安全という視点では、とられている対策が見え難くて、事故への恐怖感が拭いきれないのが現状だと思います。そのことも関連して、今回の見学で一番印象的だったのが、徹底された安全管理でした。空気や冷却水の圧力を調整すること、制御棒の機能など、その取り組みの慎重さを窺い知ることができました。
加速器を見学してみて、ビームが広がらないように各所に磁石が設置されていたり、分岐点で外に流れるように、速度や力の強さ等を計算したりしてつくられていく話をきいて、その構造の巧みさに驚きました。
中性子が医学療法に使われることなど、その他にも興味をもったことは多くありました。原子炉についての考えが変わる、貴重な体験ができたと思います。
2年生 R君
私は、原子力発電やその中の中性子やウランや原子炉について、名前だけなんとなく聞いた事がある程度で、どのようにして発電されているのか、どのような施設なのか、などは全く知りませんでした。もちろん、原子炉実験所に行くのは初めてです。そのため見たものほとんど全てが初めてのものでした。最初の紹介ビデオから言っている事がよく分かりませんでしたが、かなり危ない仕事をしている事は分かりました。はじめに原子炉室を見学させていただいたのですが、そこに行くまでの二重扉や、靴に袋を被せて行くなどもしもの事に対して常に注意を払っている様子でした。この一つ壁の向こうは放射能で一杯という所まで行って、すこし自分の体が心配になりました。施設を出る前に被爆してないかの検査をする所ではかなり緊張しました。でも一番の驚きは説明をしてくれた人の「この小さな機械で1ヶ月で自分がどれだけ被爆したかが分かるんですよ。」という発言でした。この仕事には就きたくないなと思ってしまいました。すみません。他にも加速機や臨界実験装置などを見ました。2、3ヶ月後の実験で成功すれば世界初だそうで、是非成功してほしいと思います。また最後の地震の説明で、自分の家の下に活断層があるのですが、それに対する不安が高まりました。帰りのバスで酔って気持悪い思いをしたのですが、酔って嫌な思いをした分、ためになる経験も出来たと思います。
2年生 S君
今日は研究所を見学して様々なものを見ることができました。
昔に原子力発電所を見学したことはありますが、そこで見たものとは全く違うものを見ることができ、とても興味をそそられました。
特に興味深かったのはFFAG加速機です。実際に加速機の側まで行って、詳しく説明を受けることができたので、とてもおもしろかったです。説明は習っていない内容が多くとても難しかったのですが、出来るだけ簡単にわかりやすく説明してくださったおかげで粒子を加速させる原理や収束させる原理、そして一番気になっていた加速のための回転運動から粒子を取り出す原理が、何となくですが理解することができました。
また、小型とはいえ原子炉を実際に見ることができたことには、放射線など色々あって見られないと思っていたので驚きました。ただそれよりも原子炉に洗濯ばさみが使われていることに驚きましたが。
三時間程という短い時間でしたが、とても充実した時間だったと思います。
2年生 Tさん
日本に一つ、世界に二つしかないと言われている、大学の原子炉施設に訪れる機会を得られてとても嬉しかった。
今まで原子力と聞いて連想するものは、危なくて恐くて人間に害を及ぼすものというマイナスのイメージしかなかった。しかし、今回話を聞いて、癌の治療などプラスに役立てられているという事を知った。実際、年に7・8人の患者さんが京大原子炉研究所へ治療しに来ているらしい。研究所では、中性子の働きの可能性について調べてはると聞いたが、中性子とは一体どんな物で、日常生活において私たちの身近に存在する物なのかどうかなど、もっと深く知りたいと思った。
私が一番興味を持ったのは、水素原子の加速器である。ウランから中性子を取り出すために、水素原子をウランに当てるそうだが、その加速させる方法、機会に圧巻した。原子を円状に回転させることで場所の縮小をするとは、これを思い付いた人はすごいなぁ・・・と、感動した。加速器で原子を150メガエレクトロンボルトにまでスピードを上げるそうだが、「そこからどうやって原子を取り出すのだろう?」と、疑問に思った。でも大学生の方が、丁寧に教えてくださったおかげで謎は解くことができた。
実際に原子炉に触れるという貴重な体験をすることができて嬉しく思う。今回のことが今後の進路に関わってくるといいなと思った。
2年生 U君
今回は、京都大学の原子炉を見学させて貰いました。
まず、ビデオを鑑賞して、だいたいのことは分かりました。非常に分かりやすいビデオだったので、今でも、内容が鮮明に思い出せるくらいです。
そして、いよいよ見学です。靴にカバーをかぶせて、天井が高い廊下を少し進むと、研究資料に放射線を照射するための入れ物を見せてもらいました。やはり入れ物も劣化してしまうので、照射期間にあわせて、劣化しにくい入れ物を使うと言うことも初めて知りました。そして、いよいよ原子炉の部屋に入ります。二重扉や、中を減圧することで、有害物質が絶対に漏れないように安全な設計になっていました。ここまで工夫がされていることには正直驚きました。私たちのグループは先に炉頂へと登りました。コンピュータ管理の制御室もしっかりと完備されていることに加え、緊急事態に備え、電磁石で制御棒を動かすことで、すぐに止められるようになっているという設計が素晴らしいと思いました。単に、原子力ときくと危険というイメージしかありませんでしたが、ちゃんと安全な設計が十分にされていることを再認識しました。
そして、世界初になるといわれる、加速器と原子炉の連携をめざす加速器を見せていただきました。思ったよりも大きかったのですが、これでもコンパクトな方だと聞かされびっくりしました。原理は少し難しかったのですが、どのようにして、回転しているところから、繋がっているところへと引き込むかという疑問は解決できたので良かったです。
最後に研究用実験を見せていただきました。原子炉が運転できるような設備が整っていて、学生でも、学科によっては運転の訓練に来ることが出来るというのに驚きました。運転してみたい気持ちもありましたが、間違えると大変なことになるという大きな責任が伴うのだなぁと思いました。意外にも洗濯ばさみを原子炉で使われていたのには驚きます。最初はカラフルな物だという認識ですが、洗濯ばさみと聞かされてびっくりしました。
部活でもいろんな雑貨を実験に使い回しているのですが、使い勝手が良ければ良いのかなぁ。と思いました。
見学が終了して戻ってきて、地震のお話を聞かせていただきました。
リアルタイムで、地震の波の動きを観測できるシステムがあるのがすごいと思いました。また、日本は地震大国でもあり、滋賀県では最近目立った地震がないので安全かと思っていましたが、全くそうではありませんでした。むしろ、もうそろそろ地震が起こって危ないと言うことを知りました。日頃から気をつけておこうと思います。
貴重なご講義をありがとうございました。
2年生 Vさん
私は以前にも静岡の浜岡原子力発電所の見学をしたことがありましたが、原子力発電の設備をあれほど近くで見たのは初めてでした。原子力というのはとても危険なもので簡単に近づけるものではないと思っていました。今回の見学会では、本物の原子炉や加速器を見ることができて本当にいい経験になりました。施設の中の放射能を検知する機械もすごかったです。放射能というのは人体に悪影響を及ぼし、少しだけあってもかなり危険なものだと聞いていて、近くでの原子炉の見学は怖いなと思っていましたが、それほど厳重な装備をするわけじゃないのに驚きました。
原子力は、地球環境の悪化が大きな問題になっている今、クリーンなエネルギーとしてとても注目されています。しかし一方でその強大な力を制御しきれずに大きな事故が起こることもあるし、エネルギーを取り出した後の廃棄物の処理法や処理場のことなど、まだたくさんの課題も残っていて、うまく利用していくには非常に高い技術を必要とするものだと思います。効率よく大きなエネルギーを得ることができる原子力は、よい方向に使われれば人類への大きな助けになるでしょう。これからも原子力についての研究が深まり、クリーンなだけでなく安全なエネルギーとして普及していってほしいと思います。見学会では、私はまだ知識が浅く、原子や中性子や放射能についても知らないことばかりです。今回の機会をきっかけにもっと勉強して、原子力についての理解をより深めていきたいと思います。
2年生 Wさん
京大の原子炉の見学ができて、すごくよかったです。とても楽しかったし、あんなにすごい施設が見れて、お話も聞かせてもらえて、とても勉強にもなりました。
今まで原子炉のことは勉強もしたことないし、新聞でも読んだことすらなかったので、私は放射能とか原子炉とかいうものは危なくて恐いものだとずーっと思っていたので、実際に行くまではどんなものか想像もつきませんでした。でも行ってみると、想像とはちがって予想以上に設備や建物がかっこよくて驚きました。靴をあちこちで履き替えたり、二重ドアだったり、迷路のようになっていたりして安全を第一というのも身に染みてわかりました。燃料も見せてもらえたし、さまざまな施設も、管理室もそれからFFAG加速器も全部実際に見せてもらって、放射能を浴びてないか調べる機械まで触らせてもらえて、今まで何も知らなかったのが嘘のようです。それから、癌治療を年間80人程しているというのも知らなくて、もうそんなに普及しているんだなぁと驚きました。他にも、物理や化学や考古学などにも利用されていると聞いて、恐いと思っていたものがとても画期的な素晴らしいものに思えました。
今、進路についてすごく悩んでいるのですが、原子炉の研究も楽しそうだなぁと思いました。今日は本当に貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。
2年生 Xさん
原子力発電は今まで全然なじみもなくて、例えば「核分裂」という言葉を聞いても、具体的には想像もできずに、別世界の話のようにしか思えませんでした。新聞に関係のある記事がのっていても、内容がよく理解できないことが多かったです。
でも実際に施設を見せてもらいながら説明を受けると、実感がわいて原子炉というものが分かった気がします。原子炉の原理はやっぱり私には難しくて、理解できない部分も多かったのですが、それでも多くのことを学べたと思います。原子炉の見学なんて危険じゃないのかな、と思っていたのですが、危険な装置には、それ相応の安全対策がなされているんだなぁと感動しました。例えば室内と外では気圧をかえて、危険な物質が外に出ないようにすることなど。他にもアイデアにあふれたところが本当にたくさんあるなぁと感じました。まさか洗濯バサミなんて生活的なものが使われているなんて思いもよりませんでしたが、少し親近感がわきました。
今後新聞などで関係のありそうな記事があれば、欠かさずチェックしたいなと思います。今日見たこと、学んだことを思い出しながら、今までよりももっと楽しんで読めると思います。
これからの原子力発電がどうなっていくのかすごく気になります。責任のある研究だと思いますが、がんばってください。
M 先生
先日は原子炉の見学という貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。私は生徒の引率という立場ではありましたが、それよりも自分自身の興味の方が先に立った見学会でしたので、以下の感想も一見学者の立場で書かせていただきます。
さて、原子炉ということばから、事前にはもっと物々しい施設見学を予想しておりましたが、ごく身近な研究室訪問といった感じで案内していただき、停止中とはいえ、KUCAでは炉の内部まで見せていただけたことは望外の喜びでした。炉の内部がプラスチック製の洗濯ばさみで留めてあったことなど、おもわず頬がゆるんだようで、親近感を感じさせていただきました。また、FFAGも予想していたよりずっとコンパクトで、これだけのサイズで150MeVの加速ができるのかと感動もし、高性能の実験設備が人間サイズに近づきつつあることにも親しみを感じました。さらに、地震に関する講義も面白く、最後にデモンストレーションしていただいたようなリアルタイムでの地震波の伝搬予測が可能なら、原子力施設のみならず鉄道などの自動停止も夢ではないと感じました。
ただ、個人的には見せてもらうたびに次々と疑問が湧いてきて、もしこれが生徒を引率しての見学会でなければ1時間でも2時間でも質問したかったところでした。たとえば、FFAGの加速システムとか、陽子ビームをターゲットに当てたときのターゲット内の核反応などについてです。また、KURの燃料として高濃縮のものを使っていたという点や燃料棒の形状が通常のペレット型ではなかったという点など、非常に興味を覚えました。さらに、中性子捕捉療法や中性子ラジオグラフィーにも大変興味があり、いつか機会があれば、それだけをテーマにした話をお聴きしたいものです。
ところで、ちょっと気になったのは、セキュリティーの面です。私はこの見学会までは、このような原子炉があること自体を知らなかったのですが、見学会への参加を決めた後も「未臨界炉」という名前から、常に未臨界状態で実験研究をしているのだろうと思っていました。ところが、5000kWという低出力ではあっても、臨界状態での定常運転が可能だとのことで、そうだとすれば、私たちのような部外者にあそこまでの立ち入りや写真撮影を許してもいいのでしょうか。もし、見学者の中に自爆犯型のテロリストでも紛れ込んでいたらちょっと恐いように思います。また、燃料棒の管理などがどうなっているのかも気がかりで、ちょっとした不注意から数年前のJCOのような事故が起こる可能性は絶対ないのでしょうか。
いずれにしても、今回の見学会は本当に興味深い内容でした。今回の企画を進めてくださったシンビオ社会研究会の方々や、親切に御案内・御説明をしていただいた方々に心からお礼を申し上げます。
T 先生
今回の施設見学では、原子炉の内部や粒子加速器が見学でき、有意義な時間が過ごせました。原子炉や粒子加速器を目の前にして説明を受けたことで、原子炉や粒子加速器について理解が深まり、原子炉の安全対策や中性子線によるがん治療(中性子捕捉療法)など今まで十分に理解できていなかったことの理解を深めることができました。その中でも、今回一番勉強になったのは、「加速器駆動未臨界炉」という原子炉があるということでした。原子炉といえば、臨界状態で連鎖反応を維持していくものだと考えていたのですが、「核破砕」という現象で発生する中性子を利用して連鎖反応を持続させるということは知りませんでした。
また、往路のバス内で吉川先生に、プルトニウムや核廃棄物に関して、日ごろ疑問に感じていることをたずね、話が聴けたことも勉強になりました。
生徒に関しては、1,2年生であるため説明がどの程度理解できでいたのかは疑問ですが、このような機会に研究の最前線の話を聴いたり、施設を見学することは彼らの自然科学に対する興味関心を喚起するためには有効であると考えています。
最後に、現在の高校のカリキュラムでは、「原子物理」は選択履修になっており、大学入試においてもほとんどの大学が出題範囲からはずしています。現在の生徒は大学受験には敏感で、大学受験に出題されないとなると学習をなおざりにする傾向があり、また、教える方もついはしょりがちになるところです。今後のエネルギー資源のことを考えると、文系進学者も含め一般的教養として身につけさせなければならない内容であることを強く感じると同時に、教科指導のあり方についても、考えさせられる一日でした。