温故知新-黄檗会との講演会と懇親会

長松 隆 :記

  平成二十二年四月三十日、京大会館でのシンビオ社会研究会通常総会のあと、黄檗会との共催で講演会と懇親会がありました。黄檗会とは、昭和四十二年以来宇治市黄檗の京大宇治キャンパスにあった旧原子エネルギー研の旧若林研究室を嚆矢とする4つの研究室(若林研、吉川研、宮沢研、下田研)のOBたちの集いである。現・下田研究室が、平成二十一年度末に吉田キャンパスに引越して、宇治研究室が最早過去の思い出になったのを記念し、若林先生ご夫妻のご参加を得ての黄檗会OBの集いとなりました。

  当日は黄檗会OBの、日本HDD㈱特別顧問・成松 洋 氏(前・クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン㈱代表取締役社長)に、医薬品会社の社長経験をもとに、「日本の産業活性化についての考察-医薬品産業を例として-」と題して、日本の課題を展望する講演を戴きました。

  同氏は、日本の医薬品産業の問題点として、「日本独特の論理や各種規制で守られてきたが、それが外国では通用しない」、「新薬開発に不可欠な治験の認知度が低い。コスト高、遅い、インセンティブが働かない」、「保守的な国民性(国民、マスコミ、ファンド、政府)」を挙げて、「今後、海外情報と圧力で国際レベルとの整合が求められるが、最大の問題は言葉である。データベースや治験の標準言語は英語にし、特に考え方を世界標準にしていくべし。」と指摘されました。

  成松氏は、現在、電気の世界に戻り、ベンチャー企業立ち上げに奔走中とのことで、最近国際地位下降気味の日本産業復活への同氏の意気込みに、参加のOB全員大変感銘を受け、そのあとの懇親会が大変元気に、にぎやかに、あっという間に過ぎました。最後になりましたが、今回の講演会、懇親会の世話をして頂いた、中村 洋之氏と下田先生、石井先生はじめ研究室の皆さんに感謝いたします。