シンビオ社会研究会 原子力WEB教材


教材(2)/6.まとめ のバックアップ(No.26)


_ 教材(2)リスクとリスクアセスメントの基本的な考え方

 

_ 6.まとめ

現代産業システムのリスクアセスメントについて,リスクとリスクアセスメントの基本的な考え方を説明し,機械システムの安全設計への応用や組織学習との関わりについても展望した.以下,その主なポイントをまとめる.

  • リスクとは将来予測の概念で,見積もることのできる概念である.
  • リスクアセスメントは国際規格として進展してきており,技術安全の国際化時代に必要な知識である.
  • リスクアセスメントは,将来予測ゆえに仮説的で,とくに日本では受け入れられにくい側面がある(一つは絶対安全を希求する人たちから.もう一つは効率重視の人たちから).
  • リスクアセスメントの採用は大事故予防に効果があるので,その導入は社会が本来希求する絶対安全の理想に漸近する道である.
  • 方法論として包括的,網羅的,知識集約的なために,導入展開には人的コストが掛かる.導入費用に見合う効果を上げるために,「組織学習」としての取り組み方を工夫する必要がある.

_ 参考文献

(1)シンビオ社会研究会ホームページに掲載(2009年1月現在) http://sym-bio.jpn.org/display_news.php?time=1225640828

(2)「学習する組織」による安全文化醸成に関する研究プロジェクト:最終年度総括ワークショップ「学習する組織による安全文化醸成」報告書,平成21年1月.

(3)丹羽雄二,吉川榮和,下田宏:現代産業のリスクアセスメント,コロナ社,2008年11月.

(4)MacCormick N.J.: Reliability and Risk Analysis – Methods and Nuclear Powe Applications, Academic Press, (1981).

(5) U.S. Nuclear Regulatory Commission: Reactor Safety Study An Assessment of Accident Risks in U.S. Commercial Nuclear Power Plants, Executive Summary, WASH-1400, NUREG-75/014 (1975).

(6)向殿政男:国際化時代の機械システム安全技術,日刊工業新聞社,2000年4月.

(7) 向殿政男:安全設計の基本概念,日本規格協会,2007年5月.

(8)JST失敗知識データベースホームページ(2009年1月現在) http://shippai.jst.go.jp/fkd/Search

(9)畑村洋太郎:失敗学実践講義,講談社,2006年10月.

(10)高野研一:組織風土と安全文化pp.1319-1323(財団法人 電気科学技術奨励会編 現代電力技術便覧)(2007).

(11) Engelstrem, J., et al.: Perspectives on Activity Theory (Learning in Doing Social, Cognitive and Computational Perspectives), International Congress for Research on Activity Theory (1990).

(12)杉万俊夫編著:コミュニテイのグループ・ダイナミックス,京都大学学術出版会(2006).

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