シンビオ社会研究会 原子力WEB教材


教材(1)/1.はじめに のバックアップ(No.6)


_ 教材(1)

社会の安心を希求する技術安全システム構成の道 [#ge8f2ba5] ~Safety-critical system の学習する組織による安全文化醸成~

_ 1.はじめに

 20世紀には物理学,化学,生物学などの科学技術の急速な進歩と知識の拡大普及により,あらゆる産業分野が爆発的に発展して,私たちの生活は豊かになりました.とくに電気電子情報技術の急速な進歩により,便利でクリーンな電気エネルギーをふんだんに消費し,世界中のニュースを一瞬にして知り,そして誰でも快適で高速に移動できるなど,私たち一人一人が昔の王侯貴族以上の贅沢な生活を享受しています.

 このように科学技術の進歩は高度人類文明発展の源泉ですが,益々高度化する科学技術の産物を利用する人々に様々な問題を生じさせるようになってきました.そこでは,折角買ったのに機能が多すぎて使いこなせないだけで別に実害はないものから,どんどん便利になるパソコン,インタネットのお陰でかえって忙しくなる,目が疲れる,新幹線や航空路線のダイア改正で益々日帰り出張が増えて疲労困憊する,という労働・健康上の問題もあります.    これからの私たちにとって益々高度化する「科学技術」との関わりは,個人レベルの生活から社会の安全と安心に至るまで大事な問題となってきました.とくに電力,石油,ガスのようなエネルギープラントや化学プラント,鉄道,航空機のような交通運輸,医療や情報通信システムなど公共性が高いシステムを,英語でSafety-critical system といいます。これらのシステムは事故を発生したり、災害を発生すると大変社会的影響の大きいシステムなので 安全性の確保が大変重要です。

 このようなSafety-critical system が科学技術の進歩により高度化が進むにつれ、機械を運転する人たちに新たな問題が生じています。それは、一般の人たちが信頼して任せているはずの運転の専門家が自分の運転する機械が複雑化しすぎてその仕組みが判らなくなるという問題です.実際に米国で1979年に発生したスリーマイル島原子力発電所事故では、運転員が原発の故障発生の原因が分からなくなりあれこれ試行錯誤しているうちに益々トラブルが大きくなって遂に炉心溶融事故になり周辺住民が避難する事態に発展させてしまいました.

ここではこのようなSafety-critical systemを対象に,「社会の安心を希求する技術安全システム」が如何にあるべきかを,「学習する組織による安全文化醸成」の方向から紹介します.

前の頁      目次      次の頁

_ コメント

  • これは良いことだと思います。 -- 名無しさん? 2009-05-26 (木) 22:02:42