シンビオ社会研究会 原子力WEB教材


教材(1)/5.「社会の安心を希求する技術安全システム」の具体的イメージ のバックアップの現在との差分(No.3)


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* 教材(1)社会の安心を希求する技術安全システム構成の道 [#ub91c2ae]
~Safety-critical system の学習する組織による安全文化醸成~

** 5.「社会の安心を希求する技術安全システム」の具体的イメージ [#feac6fb3]
 Safety-critical systemに関わる企業での組織内部と外部との双方のインタラクションを、2つの「リスクコミュニケーション」として構想しました.[8],[9].


2つのリスクコミュニケーションの図式を図4に示します.


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CENTER:図4 2つのリスクコミュニケーションの図式


 技術的リスクコミュニケーションでは,管理従事者,設計,製作,保守,運転等の技術者に対してリスク情報を流布,共有させてリスク発生の防止またはリスク低減に活かす.
 
 一方,公衆リスクコミュニケーションでは,技術システムの潜在的リスク情報を,産業システムに直接関わりのある公衆や行政規制当局,さらには社会一般に説明して納得を得て受容される,あるいは組織外部との間で許容リスクを定めてそれを遵守するように組織内部のリスク管理に反映する.

 この2つのリスクコミュニケーションでは、とりわけ外部との公衆リスクコミュニケーションは難しい課題です。そこには変動する社会風潮、社会世論、国の政策、そしてその底流をなす社会風土や文化のあり方が影響しているように思われます。このような2つのリスクコミュニケーションで注意すべき事項を3つ述べます.

 まず注意すべき第1点は「リスク」概念です。危険性のある施設の建設や運用を受け入れた地域の人たち、施設周辺の人々が、施設を運用する人々への「信頼」を高めること、そのために、人々が心配する事故のような純粋リスクの発生をできるだけ抑制すべきと考えています。

 ここで第2点として重要なことは組織の内部と外部の接点となるリスクコミュニケータの存在です。リスクコミュニケータは、その時々の社会的状況から世の中には何が求められているのか、世の中の風潮を敏感に察知して組織内部に警告を発したり、外部とのコミュニケーションで無用の摩擦軋轢を避けるなど、高いコミュニケーション能力が要請されるでしょう。

 第3点は、組織の安全文化の形態そのものです。ハドソンは、外部とのかかわりで、表1のように5段階で捉えました。組織の安全文化の最高の形態は,いうまでもなく"創造的(generative)"です[10].

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CENTER:表1 安全文化の5段階



 創造的な組織では、システムの安全を脅かす問題の発生のすべてを予見することはできないと認識して,常にうまずたゆまず問題点の発見とその対応策を学習して,決して自己満足に陥らない.そのような組織では、図5に示すような二重ループの学習を進めることが求められています.技術システムに直接係わる現場では、常に技術的な改善を志向したシングルループの改善学習、そして経営管理層は、既存の枠組みそのものをつねに見直す改革を行うダブルループの探索学習が求められています。杉万らの現場研究は、学習する組織が、活動理論(activity theory)に基づき、安全文化醸成に向けて「学習する組織」を構築する方途を明らかにしようとするもので、日常の活動で自律的に、表1に示す安全文化のレベルを最高のレベルまで上げていくための脱構築的学習理論を提唱しています[11]。


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CENTER:図5 二重ループの組織学習


 英国の労働安全の権威リーズンは、図6のような構図で、組織の集合知を活かし,常に学習する安全文化を創造する,「安全文化の工学化」推進を推奨しています[12].本稿では,リーズンのいう「安全文化の工学化」とは,組織の集合知を活かし,常に学習する組織の活動を支えるインフラとして、IT活用によって技術システム化することと捉えています.それはきめの細かいデータ収集と高度な統計・分析・シミュレーション実施,知識の流布共通を担う情報システム技術,すなわち「安全文化を醸成する情報システム」構築と捉えられます.図中のニアミスの自己申告システムや、現場人員による恒常的モニターシステムはその例示です。このような「安全文化を醸成する情報システム」は学習する組織が、現場メンバーの安全文化醸成のための仕組みといえるでしょう。


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CENTER:図6 組織内の安全文化醸成活動(リーズン)

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** コメント [#g118b61d]
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