「社会基盤のIT化とITSについて」

 三菱電機(株) 社会システム技術部 仲谷 善雄 氏


国土管理という観点から、国土交通省・日本道路公団が中心となって進めている社会基盤(道路・河川・港湾)でのIT化について、講演があった。

 現在、社会基盤でのIT化が進められている。このIT化の目的は、(1)監視カメラ・センサにより情報収集の高度化、(2)ネットワークの広域化などにより情報伝送の高度化、(3)中央監視システムでの大画面利用などにより情報提供の高度化、を図ることである。
 
 その社会基盤でのIT化を進める中心は、国土交通省・日本道路公団である。国土交通省は、2005年を目標として、「情報ハイウェイ」と呼ばれる、直轄道路・河川に光ファイバーを完全敷設した全国的な光ファイバー網の構築を目指している。また、光ファイバーの整備にあわせ、民間事業者の光ファイバー網の整備支援のための、光ファイバー収容空間(情報BOX・電線共同溝)を整備している。日本道路公団は、光ネットワークは既に完成させていて、トンネルなどでの集中的監視システム、雪氷作業支援システムなどの整備をはじめたところである。
 
 それでは次いで、社会基盤である道路・河川・港湾それぞれにおいて、IT化の動向を見ていく。
 
 「道路のIT化」…現在、交通事故、渋滞などといった道路交通問題の解決を目的に新しい交通システムであるITS(注1)の構築が進められている。ITSは、スマートウェイ(道路)・スマートカー(車)・スマートゲートウェイ(道路と車の通信)で三位一体となって、推進されている。道路のIT化としては、まず、このスマートウェイを展開していくことが挙げられる。具体的には、路車間で通信を行うシステム・光ファイバー網の整備があるが、その他に最新の画像処理技術を用いた渋滞検出・降雪検出などの様々なセンサの充実が図られている。また、道路の維持管理においても、IT化が進められている。例えば、トンネルなど保守作業の効率化、路面凍結対策として道路の路面状況センサ・温度センサ・塩分濃度センサなどの開発、導入が行われている。
 
 「河川のIT化」…河川のIT化の目的は、水防・砂防の確実性を上げることであるといえる。そのために、複数のダムをネットワークを通じて、包括的に水量調整などを行う複数ダムの統合管理や、土石流監視など各種センサの実用化が行われている。

 「港湾のIT化」…港湾のIT化には、港湾管理者、港長に係わる申請・届出等の行政手続きを電子情報化した港湾EDIシステムの実施や港湾の維持管理業務の高度化がある。

 また、現在は道路と河川を統合管理する方向性に進んでいる。その動きの中で例えば、現在限られた範囲でしか行われていない画像利用をより広範囲で映像共有が実現できることを目的とした広域映像集配信システムなどが検討されている。

 (注1)ITS:Intelligent Transport Systemsの略。情報技術を用いて人と車両と道路を結び、交通事故や渋滞などの道路交通問題の解決をはかる新しい交通システム。渋滞情報と連動した高度なナビゲーションシステムや、自動料金収受システム(ETC)など、いくつかの要素技術からなる。
参考HP…http://www.mlit.go.jp/road/ITS/j-html/index.html


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