人間中心の自動化におけるヒューマン・マシン・インターフェース設計
Yuji Niwa (Institute of Nuclear Safety Systems, Japan)
原子力発電所で事故が発生した場合、従来の方法では運転員がいくつかの計器を見て事故を同定することを試みる。
それから緊急事態運転手順(EOPs)を参照することで、回復行動を試みる。
現状では、原子力発電所の事故時における自動化レベルはマニュアルでの事故同定やマニュアルでのEOP参照など古いままである。
そこで、高度に人間中心の自動化システムを考えなければならない。ここで問題になるのは、
どのヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)が高度に自動化されるべきなのかということである。
何が今自動化されているか、なぜ自動化しているのか、人間の行動において困難があるかどうか、
次に自動操作は何をするかなどを総合的に機械は人間に説明すべきである。自動化のレベルとしては、
EOPの自動化レベル-3.2同意による管理を考えている。
「同意による管理」の原則は、機械はHMIによって
いくつかの行動の選択肢を提案し、人間の同意なしでは動かない。また人間は選択肢の中から一つを選び行動する。
ここで、人間の理解を得るために総合的な表示が必要不可欠である。私は総合的なHMIの表示として直接的な支援と
間接的な支援の両方の利点を持つ中間的な支援の考えを導入したいと考えている。
新しい人間中心の自動化システムの原則として
認識負担の低く意味のある表示、「意味を持つ直接的支援(DSS)」がある。DSSの基本的な必要条件には、
表示が総合的で平均的な運転員になじみやすいものであり、プラントで起こっていることを表示しなければならないといったものがある。
そして、自動化された回復システムに「エージェント」の概念を導入した。エージェントは原子力の安全性にとって
重要である5つのパラメータを評価することで、状況を評価する。
利点としては自律性とリソースマネージメントの2つがあり、
この機械システムは事故から回復するために人間の運転員と協力して働くことができる。
また、人間中心の自動化においてヒューマン・マシン・コミュニケーションも考慮されるべきである。
ここにおいて機械がすべきことは、総合的になじみやすい情報を運転員に伝え、運転員を落ち着かせ、
やる気を与えることである。将来的には、事故の時におけるヒューマン・マシン・コミュニケーションを研究すべきである。