「都市環境設計におけるVR技術、都市環境設計におけるマイクロインターネット技術」


松下電工株式会社 野村淳二氏


  1. 都市環境設計におけるVR技術
 VRは、さまざまな応用を期待できる技術である。Jaron Lanierは、VRを「物質空間と別の空間とを合成する機能を持った衣服のようなもの」、「五感によって知覚できるもの」と定義している。

 松下電工では、疑似体験、設計支援への応用として、VRを用いたシステムの開発を行ってきた。松下電工のVR応用事例として、「システムキッチンVRシステム」、「家一軒体験VRシステム」、「インターネット型住空間VRシステム(RoomNavi)」、「都市環境協調設計支援VRシステム」等がある。

 システムキッチンVRシステムでは、ヘッドマウントディスプレイやデータグローブ等のデバイスを利用して、システムキッチンを仮想空間上で体験できる。家一軒体験VRシステムでは、アーチ型スクリーンを利用して、その名のとおり家一軒を仮想空間上で体験できる。更にRoomNaviでは、顧客が家にいながらにして、インターネット上で住宅の間取りやインテリアの変更をVR体験することができる。

 また、都市環境協調設計支援VRシステムでは、VRを通した「体験」を発展させ、「設計」の高度化を図っている。このシステムは、ドーム型ディスプレイ、分散協調VR技術、データベース技術、環境シミュレーション技術、実写画像からの3次元データ作成技術等の要素技術から成り立っている。

 そして、このシステムでは、高度化のため、ヒューマンメディア技術を活用している。ヒューマンメディアとは、人間の情報発信能力を構成する3要素である、体感(身体・物理的世界)、心感(心・情緒的世界)、知識(脳・論理的世界)の3つの能力を自然な形で調和して活用する調和型メディアのことである。このシステムは、具体的には、仮想環境上に都市空間を設計し、それをドーム型ディスプレイに投影してVR体験してもらうというものである。この中には、風の強さを提示させる機能として、女性の髪の乱れで視覚的に提示でき、傘の柄にかかる力をシミュレーションしてワイヤの張力で力覚的に提示できる機能などが具備されている。


  1. 都市環境設計におけるマイクロインターネット技術
 近年のインターネットの普及に代表されるように、世界規模でオープンネットワーク化が進んでいる。オープンネットワークとは、機器等の接続における規格が公開されているネットワークである。

 今後、更にオープンネットワーク化が進み、情報機器、家電、住宅、施設等、すべてがネットワークでつながれ、一括して管理されるようになることが予想される。このような動向にあわせ、様々なネットワーク規格が設計、提案されている。 松下電工でも、設備や端末の情報をインターネットに乗せられる技術としてEMIT(Embedded Micro Internet Technology)の使用規格の開発に関わっている。

 EMITにより、コンセントをつないだだけで、すべての家電、機器をインターネットにつなげ、管理することができる。この応用例として、ビルの電力量などをモニターし、空調・照明・ブラインドを一括管理して省エネ実現を目指すビル管理システムなどがある。


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