実施計画書

事業名
平成１６年度原子力安全基盤研究（原子力安全基盤調査研究（原子力の社会的リスク情報コミュニケーションシステム）)
事業目的
技術的要因や組織文化的要因ばかりでなく、教育、社会、経済、地球環境などの要因が輻輳する原子力リスク問題について、原子力関係者間および原子力関係者と一般社会との間での相互理解を深めるため、ITを活用した原子力の社会的リスク情報のコミュニケーションシステムを創出する。
具体的には、次の２つのＷｅｂベースの社会的リスク情報コミュニケーションシステムを構成して、模擬的な社会実験を通じてリスクコミュニケーションの新たな手法の効果を検証する。

①安全文化醸成リスクコミュニケーションシステム
原子力関係者間での意思疎通、技術経験のフィードバック、組織の安全文化上の問題の予見的発見と克服を図るため、個人の技術倫理と自律に立脚した集合知を醸成する情報交流場を構成する。

②高レベル放射性廃棄物（HLW）処分問題のアフェクテイブなコミュニケーションシステム
現実の原子力政策で社会的合意が必要な｢高レベル廃棄物の処理処分｣についてのリスク問題について、原子力と一般社会の間で知識を深め、自由に意見を交換するための仮想広場（インタネット上の広場）を構成する。

また、ITコミュニケーション以外のリテラシ－フリーなリスクコミュケーション活動で本事業の成果の社会への還元に努める。
事業内容

Ａ．安全文化醸成リスクコミュニケーションシステム
Ａ．１　原子力組織間の安全文化醸成活動をモニターする現場研究
原子力組織間の安全文化醸成のための活動状況や改善課題を考察するために、電力会社、原子力メーカおよびそれらの協力会社を訪問し、参与観察する現場研究を行う。
Ａ．２　原子力組織の安全文化醸成活動モニター用ＷＥＢシステムの試作
シンビオ社会研究会ホームページ内に、原子力関連情報について一般社会の人々の興味を引き、判りやすくその意味を伝える、アフェクテイブインタフェースのコンセプトを用いたＷＥＢコーナの作成を行う。
Ａ．３　ニューシアデータによる原子力発電所トラブル情報の統計分析
公開されているニューシアの原子力発電所トラブル情報データベース情報をもとにニューシアに掲載の各電力会社の原子力発電所のトラブル情報を横断的に統計解析して、公開データに現れる各電力会社の気風やトラブル原因の特徴等を分析する。
Ａ．４　原子力関係者と一般社会へのインタネットアンケート実験の試行
Ａ．１での現場研究での観察結果やＡ．３での分析結果を、先ず本プロジェクトの女性研究分担者（つまり一般社会の目に近いメンバー）の目で咀嚼し直して、Ａ．２のＷＥＢコーナーに掲載し、日本原子力学会等のメーリングリストを介して原子力関係者へのインタネットアンケートを行う。
Ｂ．ＨＬＷ処分問題のアフェクテイブなコミュニケーションシステム
Ｂ．１　ＨＬＷ処分問題のＷＥＢコンテンツ作り
ＨＬＷ処分問題の多角的な専門的知識の検索法、入手法の改善のため、FAQの整備、専門家への質問や問い合わせの仲介法などを改善する。また、環境倫理、技術倫理など思想的背景の啓発法の導入を行う。
Ｂ．２　ＷＥＢ対話システムのアフェクテイブネスの高度化
マルチメデイア情報の提示方法の差による情報アクセス行動の差、認知向上度の相異を調べることができるように、ＷＥＢ対話システムのアフェクテイブネスの改善を行う。