--- 実施計画書 ---
公開ワークショップ「リスクとリスクコミュニケーション」
要旨
首都圏女性層では以下のようになった。
Type A:被曝リスク派(409名)
- 原子力推進(43.5%)、現状維持(18.6%)、廃止・撤廃(29.3%)
- 防災対策を課題であるとはあまり捉えていないが、地震対策を不十分であると考え、知りたがっている。
- 電力会社への国の監督をあまり信頼していない。
- エネルギーに関する基礎知識(化石燃料は有限)は廃止リスク派より高い。
Type B:廃止リスク派(44名)
- 原子力推進(75%)、現状維持(11.4%)、廃止・撤廃(4.5%)
- 地震対策について知りたがっていない。
- テレビ番組から情報を得ている(90.9%)。
- エネルギーに関する基礎知識(化石燃料は有限)は被曝リスク派より低い。
- 電力会社からトラブル内容が公開されている事を知っている(51.2%)。
今後の原子力関係者の安全文化醸成コミュニケーションへの取り組みでは、被曝リスク重視の多くの人が、今後の原子力動向に対して必ずしも否定的でない見解を有していることから、一般社会と事業リスクを重視する多数派の架け橋役として、内部に潜在するリスクのさらなる発見、リスクコミュニケーションの創発に寄与できる(活用できる)可能性がある。そこで、原子力内部に潜在するリスクを洗い出し、リスク軽減に繋げるためのコミュニケーションをマネジメントしていくシステムを考案することを考えている。一般社会で原子力推進を支持する層は必ずしも原子力への知識に裏付けられた層とはいえないことに注意すべきだ。粘り強く一般社会の知識レベルが向上するように取り組む必要がある。
(2)コメンテータからの意見
- 原子力組織の生い立ちと発展を考えると、「原子炉」と「核燃料」の2大部門に分かれて進められてきたこと、旧来の電力会社に原子力産業を持ち込んだことが、原子力組織内のリスクコミュニケーションを阻害してきたとも考えられる。また研究者にも海外情報の入手吸収だけでよいとするもの、自分の得意なテーマだけに閉じこもるもの、設計グループと協力して自分を活かせるテーマを選ぶもの、と様々である。
- 新しい原子炉を開発する際には、少々狂いがあっても性能には影響しない設計、自己満足を旨とせず、原子炉の性能、信頼性を左右するパラメタを皆の合意で決定する体制、検査が容易な設計を心がけたという先達の教えが活かされていたなら、もんじゅの事故も起こらなかっただろう。いずれにせよ、原子力組織と外部とのコミュニケーションは、原子力組織が責任をもって自分たちの問題として社会に説明していくべきだ。