>>[1] [3]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンケート文についてはここを参照して下さい


 


--- アンケート ---

原子力関係者へのリスクコミュニケーションプロジェクトからのアンケート結果の報告

  1. アンケートの結果の概要
    4−1) ニューシア分析の結果報告に対する原子力関係者の意見

     ニューシアとは、日本の原子力発電所に関するあらゆる情報公開ライブラリーサイト(NUClear Information Archives)の通称であり、原子力発電所の事故・故障に関する情報が検索できる。今までに、ニューシアについて知っていたかどうかを原子力関係者に尋ねた所、関係者のうち約4割が「知っているし、見たこともある」と答えている一方で、約4割は「まったく知らなかった」と答えた(図4.1)。


    図4.1 ニューシアを知っていたか

     続いて、ニューシアの活用に関するいくつかの意見を提示し、これらに賛同できるかどうかを尋ねた(表4.1)。「事故防止対策を記載すべき」という意見に対しては、73%の回答者が賛同できると答えた。自由記述では、「対策が決定された段階で記載することが望ましい」、「一般の人向けには分かりやすい説明が必要」などといったコメントが寄せられた。一方、「不安や誤解を招く恐れがある」、「防止対策はプラントごとに異なるので難しい」といった反対意見もあった。「評価基準を分かりやすく説明すべき」という意見に対しては、78%の回答者が賛同できると答えた。自由記述では、「INESそのものの明確化が必要」、「情報の受け手の知識に応じた説明を用意すべき」、「学校教育の場で、理解力を高めることが重要」などのコメントが寄せられた。また、「電力会社で(事故の分類や発信時間に関する)基準を統一すべき」という意見に対しては、61%の回答者が賛同できると答えていたが、30%の回答者は「すべては賛同できない」と答えており、自由記述においても慎重な意見が多く見られた。「最低レベルの統一(表現の統一など)は必要だがあとは個々の電力会社に任せてよい」、「立地自治体との協議の問題があるので難しい」、「炉型、年度、立地環境などで異なるので、詳細については統一できない」、「現状で十分」などのコメントが寄せられた。

    表4.1 ニューシアに対する意見に賛同できるか


    4−2) 座談会の結果報告に対する原子力関係者の意見

     原子力立地地域の人々の声を聞き取ることを目的に行った座談会からは、地元と発電所のコミュニケーションに関する示唆がいくつか得られた。座談会に出席した現場ワーカーから、家族や知り合いに原子力の専門的な内容をわかりやすく伝えるのが難しいといったコメントがあったことを踏まえ、原子力関係者にも身近な人とのコミュニケーションに関する質問を行った。図4.2に、「家族や友人と原子力について話すか」を尋ねた結果を示す。65%が「よく話す」と答え、31%が「1、2回話したことがある」と答えている。原子力の話をするときの工夫について、自由回答を求めたところ、「できるだけ身近な例(自動車の故障、発電機は自転車のライトと一緒、など)に置き換える」(多数)、「専門用語を使わない」(多数)、「相手の話を良く聞き、相手の立場に立って説明する」、「自身や発電所の取り組みを、体験に基づいて話す」、などといったさまざまなコメントが寄せられた。


    図4.2 家族や友人と原子力について話すか

     一方、座談会に出席した地元女性の話からは、原子力については漠然とした不安があるものの、エネルギー供給や、雇用創出という点では必要である意識が確認された。その中で、地元女性から原子力に対するいくつかの要望が提出されたことを踏まえ、要望に対する原子力関係者の意見を尋ねた(表4.2)。「事故時のマニュアルを用意して欲しい」という要望に対しては、55%が賛同できると回答している。自由記述では、「対応の基本動作や、避難の際の経路など、シンプルな内容が望ましい」、「安心感を得るためには効果的」といったコメントが寄せられた。一方、38%の関係者は「すべては賛同できない」と回答しており、「地域(自治体)の防災計画に盛り込む形が望ましい」などの意見が寄せられた。また「すでにそのようなマニュアルは作成されている」という指摘もあった。「天気予報のように発電所の情報を発信して欲しい」という要望については、57%が賛同しており、「電力会社のホームページでは、運転状況や排気筒の監視データをリアルタイムで発信している」という情報も寄せられた。「Webサイトを通じて関係者に質問できる場があればよい」という要望については、8割もの多くの関係者が賛同できると答えていた。自由記述では、「第三者的な機関(大学、原子力学会、原産会議など)がコーディネイトするのが望ましい」、「インターネット以外でも交流の場を持つ工夫をすべき」などのさまざまな意見が寄せられた。

    表4.2 座談会で出た要望について賛同できるか

    4-3) 昨年度実施した原子力に関する意識調査の結果報告に対する関係者の意見

    2003年度に当プロジェクトが原子力関係者と首都圏女性を対象に行ったアンケート調査では、両者のリスク認識についての分析を行った結果、原子力関係者のリスク認識は、「原子力事業運営に対する障害をリスクと考える多数派」、「事故による被曝・汚染をリスクと考える少数派」、「原子力廃止によって生じるマイナス面をリスクと考える少数派」という3つのグループに大別できることが明らかとなった。今回のアンケートで、回答者自身がどのタイプに当てはまると思うかをたずねた所、回答は、3つのグループに均等に分かれた(図4.3)。


    図4.3 どのリスクを重視するタイプか

     昨年度のアンケートでは、首都圏女性と原子力関係者との意識のギャップについても検討した。首都圏女性の原子力に対する不安は、国の原子力政策や、安全確保への不信と関連していた点を踏まえ、原子力への代表的な批判を提示し、それらに対する関係者の意見を求めた(表4.3)。「廃棄物処理技術の未確立が問題である」という批判については、すべては賛同できないとする回答が33.8%、賛同できないとする回答が31.2%であった。自由記述では、「すでに処理技術は確立されているはず」、「理解を得ることが大事」という意見が多く得られた。「放射能汚染の危険が心配である」という批判については、47%がすべては賛同できないと答えており、「他のリスクに比べると危険ではない」(多数)、「危険があることを踏まえた上で、コミュニケーションを行っていくことが大事」など、反論から具体的提案まで、さまざまな意見が寄せられた。「安全確保に信頼がおけない」という批判についても、47%がすべては賛同できないと答えていた。自由記述では、単なる反論だけではなく、「昨今の事故・不祥事からすると当然の反応」、「むしろ、どのような安全確保をしているか、国や企業で分かりやすく説明していく必要がある」という趣旨の意見も寄せられた。「国の原子力政策を信頼できない」という批判に対しては、39%もの回答者が賛同できないと答えている。「電力供給を考えると国の政策は妥当である」(多数)、「国への信頼には限界がある」、「透明性の確保された議論を続けていくことが重要」という意見が寄せられた。

    表4.3 原子力に対する意見に賛同できるかどうか


プロジェクト成果
連絡先
平成16年度活動計画
平成15年度活動結果
Home