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アンケート文についてはここを参照して下さい


 


--- アンケート ---

原子力関係者へのリスクコミュニケーションプロジェクトからのアンケート結果の報告

  1. まとめ

    今回のアンケートでは、これまで本プロジェクトの研究で拾い上げてきた一般社会の声といくつかの提案を原子力関係者に発信してそのレスポンスを得て関係者の幅広い意見を、これからの本プロジェクトの取り組みにフィードバックしていくことを考えている。以下では、一般社会と原子力関係者のリスクコミュニケーションには、どのような矛盾や困難があるのか、またどのような方向でそれらを改善できるかの観点から、原子力関係者の自由記述をまとめる。

    ニューシアの活用に関して、現段階では情報公開の第一ステップとしてニューシアが位置付けられており、一般社会向けには分かりやすい表記が必要であること、一方、評価基準の詳細を統一することは難しいことなどが指摘された。ニューシアには、「一般社会に対する情報公開」と「専門家間の情報共有」という2つの道具的機能があると考えられる。専門家の間では、現段階では後者に重点が置かれているものの、前者の重要性も認識されていることがうかがえた。これら2つの機能を対立させずに、ニューシアを発展させていくためには、評価基準の画一化よりも、むしろ、各会社のトラブル情報に関する分析などの研究を蓄積し、ボトムアップ的な改善を進めていくことが重要と考えている。

    発電所立地地域住民の要望に関する質問では、避難時の具体的なマニュアル、恒常的な情報発信、またコミュニケーションの場の要望に対して、賛同が寄せられたと同時に、そのようなシステムが既に存在することが専門家によって指摘された。特に、コミュニケーションの場の確立については多くの回答者が賛同しており、住民とのコミュニケーションが関係者にとっても望まれていることが示唆された。ただし、以上述べたような取り組みを実際に行う場合、電力や行政だけでは、マンパワーなどの限界があることも示唆された。地元自治体や大学などの第三者的機関の活用が検討課題である。また、発電所の取り組みを具体的な事例とともに発信することは、信頼醸成と安全文化醸成という2つの観点から重要と考えている。

    リスク認識に関するアンケートでは、一般の人々が原子力のどのような点について不安を持っているかを、まず発信した。それに対する関係者の反応は、「もっともであるがすべては賛同できない」という意見が多数を占めていた。一般の人々には、原子力に関する政策への不信や、安全対策への不信が高い。これに対して関係者はしばしば、原子力発電所の被曝のリスクが他の日常的リスクと比較して大変小さいこと、日本のエネルギー問題を考慮する必要があることを、訴えている。原子力に関するコミュニケーションの困難は、まさにこの視点の掛け違い−「不信」と「リスク−ベネフィット観」−にあるのではないだろうか。一般の人々の不信や不安の原因が漠然としていると原子力関係者は考えているだけではギャップはなくならないので、本プロジェクトの立場としては、原子力関係者に一般の人々の不信や不安の内容を言語化・具体化するとともに、少なからぬ人々が原子力発電の必要性を認識している点を原子力関係者に伝えていくことが一体誰のために原子力界が安全文化を醸成すべきかを真剣に考えてもらう上で重要な視点と考えている。
プロジェクト成果
連絡先
平成16年度活動計画
平成15年度活動結果
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